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東京高等裁判所 昭和43年(行ケ)145号 判決

一 本件に関する特許庁における手続の経緯、本願考案の要旨および本件審決理由の要点が、いずれも原告主張のとおりであることは、当事者間に争いがない。

二 そこで審決取消事由の有無について判断する。

本件審決は、本願考案と引用例とを対比し、その間に即に判示したとおりの三相違点があるとしながらも、いずれも、実質的には相違はないか、または引用例の考案に周知の技術手段を用いることにより当業者が容易に考案することができるものであると認定しているが、当裁判所は、この認定は誤りであり、本件審決は取消を免れないものであると認める。その理由は、以下にのべるとおりである。

1 成立に争いのない甲第四号証(本願考案についての昭和四十年八月十七日付手続補正書)および甲第二号証(引用例)によると、本願考案においては、円筒状管を接続金具本体の一側方に突設し、芯管は円筒状管の中心側に本体と一体にその一側に突設し、円筒状管を求心方向に圧搾してホースを円筒状管と芯管とにより挾着する構成をとるものであるのに対し、引用例にあつては、挾持環は筒状接手本体の一側方に設け、筒体を挾持環の中心側に筒状本体とは別体にその一側に設けており、締付体における螺旋内周面を接手本体の螺旋外周部側に螺合させることにより、パイプの一端外面が挾持環を介して締付体のテーパー内面をもつて徐々に締付けられるようにした構成であることは、審決の認定するとおりであることが認められる。

2 ところで、叙上甲第四号証によると、本願考案は叙上の構成に加えて円筒状管に透孔を設ける構成によつて、接続に当つては、芯管と円筒状管との間にゴムホースを嵌挿し、円筒状管を外周より押圧してこれを塑性変形させ、これと芯管との間にホースを挾着することにより接続の目的を達するから、接続に手数を要せず、また、円管状管を外周から圧搾してその透孔内に確実にゴムホースをその固有の弾性力を利用して膨出させて喰入らせることにより、強固にホースを接続固定することができ、漏液、漏気のおそれがないようにする作用効果をあげうるものであることを認めることができる。これに対し、前顕甲第二号証によると、引用例のものはプラスチツクスパイプ専用の接手であつて、叙上の構成に加え鈑製挾持環に多数の小孔を穿設した構成をとることにより、接続に当つては、筒体のテーパー外周面に所要のプラスチツクスパイプの一端を一旦溶融させ、該パイプの外周面に、その面に内周面が対応し、かつ、一周部を切開した挾持環を抱合させる一方、該環の外周面に対応するテーパー内周面を下半部に、かつ、上半部に接手本体の螺旋外周部に対応する螺旋内周面を形成した締付体における螺旋内周面を接手本体の螺旋外周部側に螺合して締付体のテーパー内周面をもつて徐々に締付けてゆくことにより、パイプの一端を挾持環の内周面と筒体のテーパー外周面とで強固に挾持し、よつてパイプと接手本体とを完全に、しかも水密的に接続保持せしめうべく、さらに挾持環の下周部に穿設した多数の小孔内へ、締付体の締付時において溶融されてまだ冷却しないパイプの一端部の一外周部分が自然に膨張突入し、その冷却後突起となることにより、パイプに少々の引張力が加えられて該パイプの一端部は筒体のテーパー外周面と挾持環の内周面間より脱出するようなことも全くなく、しかも上記の挾持環は締付体と同一物質の金属鈑製であるため挾持環の外周面と締付体のテーパー内周面との摩擦は他の環状パツキング下面と筒体上面および筒体のテーパー外周面と挾持環の内周面との摩擦の大きさに比して著しく小さく、したがつて締付体の回転力によつて挾持環と共にパイプが回転することを防止しえ、締付時においてもパイプをねじるようなことのないという作用効果をあげるものであることを認めることができる。叙上によると、本願考案と引用例との間に、とくに、本願考案にあつては、接続金具本体とゴムホースとの接続を、円筒状管に透孔を設け、外周より圧搾して円筒状管と芯管との間に嵌挿したゴムホースの外周部をこの透孔内に喰入らしめることにより強固にしているのに対し、引用例のものにあつては、鈑製挾持環に小孔を設け、これを筒体のテーパー外周面に嵌合させたプラスチツクス製パイプの外周部を溶融した個所に圧着し、前記小孔内に溶融したパイプの一部を膨張突入させて冷却後突起となるようにして、この突起部と前記小孔との緊密な嵌合によりパイプの脱出を防止するようにしている点において、その構造および作用効果に相違するところがあるといわなければならない。

3 審決は、右にのべた本願考案と引用例との構成上の相違点を含め、その指摘する相違法は、いずれも実質的に相違というほどでないか、または当業者が周知技術の利用により容易に考案しうる程度のものである旨判示している。そして、成立に争いのない甲第三号証によると接続金具において円筒状管を接続金具本体の一側方にこれと一体に突設すること、芯管を円筒状管の中心側に接続金具本体と一体にその一側に突設することおよびホースを接続金具に取付けるに当り円筒状管と求心方向に圧搾して取付を行なうことが周知技術であることを認めえないわけではない。しかしながら、前顕甲第二号証によると、引用例は先に2において認定したように、プラスチツクスパイプの接続に際し溶融装置を使用して一旦これを溶融して挾持環を締付けることにより溶融プラスチツクを挾持環の小孔内に膨出させ、その部分の冷却による突起を作り、小孔部と穿合させることによりパイプを固着させる構成および効果はこれを教示しているが、ゴムホースの接続につき円筒状管ないしこれに類する挾持環に孔を設け押圧ないし締付により孔内部にゴムを膨出喰い入らせることによりホースを固着する構成および効果に関しては全く示唆するところがないことを認めうる以上、他に反証のない本件にあつては、叙上周知技術の存在にもかかわらず、当業者において前記2の末尾に指摘した相違点を克服し、引用例から本願考案を容易に考案することができるものと認めることはできない。

(むすび)

三 以上説示したとおり、本件審決にその主張のような違法のあることを理由にその取消を求める原告の本訴請求は、他の点について判断をするまでもなく、理由があるものということができるから、これを認容することとする。

〔編註〕 本件における当事者の主張は左のとおりである。

請求の原因

原告訴訟代理人は、本訴請求の原因として、次のとおり述べた。

一 特許庁における手続の経緯

原告は、昭和三十七年十一月八日、「ホースの接続金具」なる考案について、実用新案登録の出願(昭和三七年実用新案登録願第六六、七五六号)をしたところ、同四十年四月二十三日拒絶査定があつたので、同年六月十四日審判の請求をし、昭和四〇年審判第三、六九三号事件として審理されたが、昭和四十三年九月十八日、「本件審判の請求は成り立たない」旨の審決があり、その謄本は同年十月五日原告に送達された。

二 本願考案の要旨

接続金具本体の一側に突設した円筒状管の周面に所要数個の透孔を穿設し、上記円筒状管と、その中心側に上記本体と一体にその一側に突設した芯管との間にホースを嵌挿すると共に、上記円筒状管を求心方向に圧搾してホースの一部を上記透孔に噴入らせてホースを円筒状管と芯管とにより挾着してなるホースの接続金具(別紙第一参照)

三 本件審決理由の要点

本願考案の要旨は前記のとおりであるところ、本願考案出願前に国内頒布された昭和三三年実用新案出願公告第一八、四六二号公報(以下「引用例」という。)には、「下端より上端になるに従つて外径のみを大きくなるように形成した筒体1の上面を環状パツキング2を介して、上半部aにバルプ又はコツク等を接合するほぼ筒状接手本体3の下半部bの下面に接触なし、而して上記筒体のテーパー外周面4に溶融して嵌合させるプラスチツク製パイプpの一端外周部へその周部に内周面が対応しかつ一周部を縦方面に切開形成した鈑製挾持環5を抱合させるとともに、該環の下周部に多数の小孔6・6………を穿設し、また挾持環5の外周面に対応するテーパー内周面7を下半部にかつ接手本体3の下半部b外周面に設けた螺旋8に対応する螺旋内周面9を上半部に形成した締付体10をパイプp側に嵌合し、而して、この締付体の螺旋内周面9を接手本体3の螺旋3外周面に螺合するようにしたプラスチツクパイプ用接手」が記載されている(別紙第二参照)。そこで、本願考案と引用例とを対比してみると、接続金具本体(引用例では筒状接手本体3)の一側に設けた円筒状管(引用例では挾持環5)の周面に所要数個の透孔(引用例では小孔)を穿設し、上記円筒状管とその中心側に上記本体の一側に設けた芯管(引用例では筒体1)との間にホースを嵌挿しホースの一部を上記透孔に喰入らせて、ホースを円筒状管と芯管とにより挾着してなるホースの接続金具である点で、両者は一致するものと認める。しかし、(a)本願考案の円筒状管は接続金具本体の一側方に突設したものであるが、引用例の挾持環5は筒状接手本体3の一側方に設けている、(b)本願考案の芯管は円筒状管の中心側に本体と一体にその一側に突設しているが、引用例の筒体1は挾持環5の中心側に筒状接手本体3とは別体にその一側に設けている、(c)本願考案においては円筒状管を求心方向に圧搾してホースを円筒状管と芯管とにより挾着しているが、引用例にあつては締付体10における螺旋内周面9を接手本体3の螺旋外周部側に螺合させることによりパイプの一端外面は挾持環5を介して締付体10のテーパー内周面7をもつて徐々に締付けるようにしているという点が相違している。そこで、叙上の相違点について考えるのに、まず(a)の点についてみると、本願考案の円筒状管を接続金具本体の一側に突設したということは、本件実用新案登録請求の範囲中の後段の記載と対比して考えると、必ずしも円筒状管と接続金具本体とは一体関係にあることを表現したものではないと考えられるから、結局、相違はないものと認められる。かりに、この記載が円筒状管と接続金具本体とが一体関係にあることを意味するものとしても、このような構成はきわめて周知のものである(昭和三四年実用新案出願公告第一九、三六六号公報参照。以下「参照例」という。)。次に(b)の点も、本願考案のように芯管と本体とを一体に設けることは周知の技術手段であるから(参照例参照)、単なる構造上の微差にすぎない。また、(c)の点についてみると、ホースをこの種の接続金具に取付けるに当たつて円筒状管を求心方向に圧搾して取付けることは周知の技術手段であるから(参照例参照)、引用例の締付体10を接手本体3に螺合させて挾持環5を介してパイプを締付けるようにした構成に代えて、本願考案のように単に円筒状管を圧搾してホースを円筒状管と芯管との間に挾着するようにすることは、当業者が周知の技術手段にもとづいて容易に考案することができるものと認める。したがつて、本願考案は、引用例と前記の周知の技術手段にもとづいて、当業者がきわめて容易に考案することができるものであり、実用新案法(昭和三十四年法律第百三十四号)第三条第二項に該当し、実用新案の登録要件を具備しない。

四 本件審決を取り消すべき事由

本願考案の要旨についての本件審決の判断は争わないが、本件審決は、次の点において判断を誤つた違法があり取り消されるべきである。

(一) 1 本件審決は、本願考案と引用例とを比較したうえ、次の点で一致するとしている。

(1) 接続金具本体(引用例では筒状抜手本体3)の一側に設けた円筒状管(引用例では挾持環5)の周面に所要数個の透孔(引用例では小孔)を穿設したこと、

(2) 円筒状管(引用例では挾持環5)とその中心側に接続金具本体(引用例では筒状接手本体3)の一側に設けた芯管(引用例では筒体1)との間にホースを嵌挿したこと、

(3) ホースの一部を円筒状管(引用例では挾持環5)の透孔(引用例では小孔)に喰い入らせてホースを円筒状管(引用例では挾持環5)と芯管(引用例では筒体1)とにより挾着したこと、

2 しかしながら、審決の叙上判断は、以下にのべるとおり誤りである。

(1) 引用例のものにおいても、その挾持環の周面に所要数個の透孔を穿設していることは、審決の指摘するとおりである。しかし、引用例にあつては、挾持環は筒状接手本体とは別個に作られ、金属薄鈑製で円錐形切開形状をなし、筒状接手本体に接する円錐下部に漏液防止用のパツキング押えのつばを有するもので、それに穿設されている、いわゆる透孔も、その登録請求の範囲および添付図面によつて明らかなとおり、小孔である。しかも、パイプの挾着は締付体を螺合させることにより徐々にある程度の回転と前進をもつて緊縮変形をするような方式によつて行なわれる。したがつて、この小孔は、パイプ(ホース)の一部をその中に喰入らせるというよりは、むしろその中にかすかにめり込ませるためのものであると解せざるを得ない。特に、ホースが硬質ゴムの場合には、ゴム層の表面を引張つて緊張させるのみで小孔にめり込ませる作用もしないものと考えられる。これに対し、本願考案にあつては、明細書添付の図面を参酌すれば明らかなように、挾持環に相当する円筒状管は接続金具本体と一体的に形成されているのみならず、その形状も前記挾持環とはいちじるしく異なり、かつ、それに穿設された透孔も相当な大きさを有している。しかも、ホースは同様接続金具本体と一体的に中心部に形成されている芯管との間に嵌挿され、求心方向に圧搾して接続されるから、ホースの一部は透孔から完全に外部に膨出させて喰入らせられる。この点において、引用例と本願考案との間には、その形状、機能および作用効果において相違がある。

(2) 引用例のものにあつては、筒状接手本体とは別体に形成された筒体にまずプラスチツクパイプを溶融して嵌合し、ついで、その外周に挾持環を抱合せ、さらに、その外周に締付体を螺合してるもので、これらの部品を叙上の方式に従い、とくにパイプの溶融のためには加熱装置、締付体の締付のためには締付器具を用いて始めて実施し得るものであり、かつ、パイプを挿入または嵌挿してなるものということはできない。これに対し、本願考案にあつては、接続金具本体と円筒状管および芯管とは一体的に構成されているところから、単に円筒状管と芯管との間隙にホースを嵌挿するだけで足りる。この点も両者間の大きな差異である。

(3) パイプの挾着につき、引用例においては、上記(1)および(2)に述べたとおり、パイプを嵌合し、挾持環を抱合せた後、その外周に締付体を螺合させ、筒体と挾持環とでパイプを挾圧しているもので、喰入らせて挾着するといえないことは、既に述べたとおりである。これに対し、本願考案にあつては、ホースを求心方向に圧搾することにより、円筒状管と芯管とでホースを挾着するもので、引用例と相違する。

(二) 1 本件審決は、本願考案と引用例との相違点として、(a)、(b)および(c)の三点をあげ、これについて判断している(前記三の本件審決理由の要点の項参照)。

2 原告は、叙上の判断のうち(b)の点についての判断は争わないが(a)および(c)の二点についての審決の判断は、以下に述べるとおり、誤りである。

(1) まず、(a)の点につき、審決は、本願の実用新案登録請求範囲の記載からみて、円筒状管は必ずしも接続金具本体と一体関係にあるものとはみられない旨判断する。しかし、同請求の範囲の記載を、本願明細書の一考案の詳細な説明」の項の記述(特に、「接続金具本体の一体にこれと一体に芯管と円筒状管を設け」等)およびその添付図面を参照して解釈するときは、円筒状管が接続金具本体と一体的に構成されることは明白で、審決の叙上判断は本願考案の構成要件に関する解釈を誤つている。もつとも、審決は、「円筒状管と接続金具本体とが一体関係にあることを容認したとしても、このような構成は本願出願前周知である」とし、かかる構成自体が周知であつたことは原告において争わないところであるが、本願考案は周面に透孔を穿設した円筒状管を接続金具本体と一体的に構成したことを特徴とするものであり、このような構成をも周知とする証拠資料はない。

(2) 次に(c)の点につき、審決は、ホースをこの種の接続金具に取付けるに当たつて、単に円筒状管を圧搾してホースを円筒状管と求心方向に圧搾して取付けることは極めて周知の技術手段で、本願考案はこの技術手段にもとずいて当業者が容易に考案することができるものであるとしている。原告は叙上の技術手段が周知のものであることは争わないが、本願考案は、円筒状管の外周面に透孔を穿設し、周知技術による圧搾により、この透孔にホースの一部を喰入らせることにより、ホース等の接続に際し、押圧されたホースの圧縮膨出部が芯管の外部方向でホース内部に凸出し、その結果ホースの内径が小さくなり、不当な流圧が加わり、種々の幣害の原因となる、いわゆる「バルジ」の発生を防止することができる。そして、

このような構成効果を有する本願考案は、当業者が、叙上周知技術から容易に推考することができるものとはいうことはできないから、この点に関する審決の認定も、また誤りである。

被告の答弁

被告指定代理人は、答弁として、次のとおり述べた。

一、本件に関する特許庁における手続の経緯、本願考案の要旨および本件審決理由の要点が、いずれも、原告主張のとおりであることは認める。

二、本件審決を取り消すべき事由に関する原告の主張事実は否認する。本件審決の判断は、正当であり、原告主張のような違法の点はない。すなわち、

(一) 原告主張の四の(一)の2の(1)について

原告は、引用例の挾持環は「金属薄鈑製」であり、本願考案の円筒状管には、「大きな透孔」が穿設されていると主張する。しかし、引用例の説明の項には、「金属製薄鈑」なる説明はあるが、その登録請求の範囲の項には単に「鈑製挾持環」と記載されているのみで、厚薄いずれをも含むこと、または挾持環を厚鈑とすることも示唆されているといえる。他方、本願考案の「透孔」については、原告主張のような「大きな透孔」という表現はなく、結局、鈑の厚薄、透孔の大小は、単なる設計上の問題であり、ホースの一部を透孔に喰入らせる点で両者は一致する。また、原告は、引用例の挾持環の形状、機能とも本願考案の円筒状管といちじるしく相違する旨主張するが、引用例の挾持環は、その軸方向に直角な横断面はすべて円形の筒状をなした管、すなわち円筒状管を形成しており、この挟持環と筒体との間でパイプを圧縮挾着するという点で、引用例と本願考案とは相違するところはない。引用例の挾持環が切開形状をして上端につばのある点は、本願考案の円筒状管と較べると、単なる附加的構成にすぎない。

さらに、原告は、引用例におけるパイプの挾着について、締附体を螺合させることにより徐々にある程度の回転と前進をもつて緊縮変形をするような方式による旨を主張するが、引用例説明によると、引用例の挾持環は、原告の主張するように、回転ないし前進をするものではない。

しかも、原告は、本願考案のものは、ホースの一部が透孔から外部に「膨出させて喰入らせられる」のに対し、引用例のものは、小孔からパイプ(ホース)の一部を「めり込ませる」ようにした点が相違する旨述べるが、引用例には、かかる表現はなく、「………自然に膨張突入し………」とあつて、これが原告のいう「めり込ませる」ことであり、同一のことを意味する。かりに、相違する点があつても、程度の差にすぎない。

(二) 原告主張の四の(一)の2の(2)について

引用例にあつても、その添付図面からみて、プラスチツクパイプは筒体と挾持環との間に明らかに嵌挿されており、それゆえに、所期の目的効果を達することができる。引用例の 「………挾持環5を抱合させる………」ということは、その嵌挿方法の結果として、パイプを筒体と挾持環との間に挾挿して抱合させるまたは嵌挿しながら抱合させることを意味しており、嵌挿する点では一致している。

のみならず、仮に挾持環を後から抱合させるものであるとしても、これは嵌挿の方法の相違にすぎず、嵌挿した構成に関しては、本願考案と引用例との間に相違はない。

(三) 原告主張の四の(一)の2の(3)について

本願考案では円筒状管と芯管が「………挾着している」とあり、引用例でも筒体と挾持環が「………挾圧している」とされ、本願考案および引用例とも挾着していることは明らかである。なお、円筒状管またはホースを求心方向に圧搾することについては、相違点cとして論じてある。

(四) 原告主張の四の(二)の2の(1)について

本願考案にあつても、その登録請求の範囲およびその明細書中の「考案の詳細な説明」の後段部分の記載に徴すれば、円筒状管と接続金具本体とが一体関係にあるとはいえない。図面に記載されているものは、一実施例にすぎず、これに限定されるわけではない。

(五) 原告主張の四の(二)の2の(2)について

原告が強調するバルジ除去の効果については、本願出願書類には、なんら記載がなく、かかる作用効果に関する新しい主張は許されない。

かりにそうでないとしても、引用例には、「………締付体10の締付時に於いて溶解されてまだ冷却せざるパイプの一端部の一外周部分が小孔6・6………内へ自然に膨張突入し………」と記載されているが、これは、圧縮されてパイプの一部が透孔より外部に膨出することを意味し、結局、そのパイプの内径部にバルジを発生せしめることがないから、本願考案の要旨と同一の作用効果を発生せしめるもので、本願考案においてはじめてみられる作用効果ということはできない。

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